坂ノ途中が目指しているのは、
環境負荷の小さな農業に取り組む人たちを増やすことです。
100年先もつづく農業のかたちをつくりたい、
そして持続可能な社会にたどり着きたいと考えています。 ひとつの方法として、私たちは農産物の販売をしています。
つながっている農家さんは、西日本を中心におよそ400軒。
そのうちの8割が新しく農業に挑戦した人、つまり新規就農者さんです。
農業をはじめて間もない人たちと連携して事業がーーかろうじてなりともーー成り立っているのは、
おそらく日本で初の事例だと思います。
私たちがどんなことを考えて、どんなことをしているのか。
書いていたらずいぶんと長くなってしまったのですが、紹介させてください。
【1】未来からの前借り、やめましょう
農薬や化学肥料に依存した現代の農業は、水質汚染や土壌の劣化を招き、生物の多様性を損なう要因にもなっています。人が生きていくことの土台となっている農業。人と自然環境との結び目でもある農業。今の豊かさを追い求めるあまり、未来からの前借りを繰り返してもいいのでしょうか?
【2】新規就農者のパートナーになることで、農業を持続可能に
新しく農業をはじめる人たちはとても熱心で、環境に負担をかけず、とびきりの野菜を育てます。けれども収穫が少量で安定しないために売り先が見つからず、農業を諦める人も多くみられます。彼ら、彼女らの野菜を販売することで未来につながる農業の担い手を増やしていきます。
【3】坂ノ途中の工夫と挑戦
少量で不安定な農産物を扱うことには膨大な手間がかかります。意義はわかるけれど無理だと思う、幾度となくそう言われてきました。だから、エンジニアを中心に集荷や管理など、すべてのプロセスに工夫をこらし、業界の常識にとらわれない新たなしくみを作りました。
【4】創意工夫のつまった、バリエーション豊かな野菜
私たちが提携している農家さんたちは挑戦意欲が旺盛です。珍しい西洋野菜や伝統野菜の栽培に取り組んだり。そしてなにより、丁寧に育てられた野菜はほんとうに美味しいです。畑の様子から暮らしのことまで、いろいろな話を聞かせてもらいながら、農家さんと一緒に栽培計画を考えます。
更に詳しくは、サイトに書いてあるので、是非読んでみてください。
https://www.on-the-slope.com/corporate/about/
そんなわけで坂ノ途中では、野菜を中心とする農産物の販売をしています。
環境に負担をかけない農業を志す人たちでも、好みのスタイルはさまざま。
レストランに向けた珍しい品種に力を入れたい、
研修生を受け入れられるようにしたい、
自然農法にチャレンジしたい、自家採種にこだわりたい、
などなど。
坂ノ途中では、多様な販路を維持していくことで、
いろいろな営農スタイルを肯定したいと思っています。
「こんなスタイルじゃないと、ウチは取引しませんよー」じゃ、
ちょっとさびしいですもんね。
農業を持続可能なものにしよう!未来につながるものにしよう!
そういう価値観を共有できていれば、
その表現方法は違っていても、協力し合って、少しでも前に進みたいと思っています。
だから、坂ノ途中では個人の方へ向けてのネット通販だけでなく、
レストランさんや小売店さんへの卸販売や、京都で八百屋の運営をしています。
[プロフィール]
1983年奈良県生まれ。京都大学総合人間学部では文化人類学を専攻。外資系金融機関での「修行期間」を経て、2009年、株式会社坂ノ途中を設立。「100年先もつづく、農業を。」というメッセージを掲げ、農薬や化学肥料不使用で栽培された農産物の販売を行っている。提携農業者の約8割が新規就農者。東南アジアで森林保全と山間地での所得確保の両立を目指す「海ノ向こうコーヒー」も展開している。