2009年にNPO法人になってから12年あまり、おかげさまでキッズドアは認定NPO法人になりました。私が任意団体としてキッズドアを設立したのが2007年。
子どもの支援といえばアジアやアフリカなどの発展途上国の支援であり、誰もが「日本に支援が必要な子どもはいない、貧困な子どもはいない」と思っていました。日本国内で子どもの支援をする団体もほとんどありませんでした。
今では、多くのメディアが「日本の子どもの貧困」を取り上げ、子どもの貧困対策の推進に関する法律もでき、学習支援や食の支援など様々な活動が生まれ、それを担うNPOや地域活動も数多く生まれました。
長く活動を続ける中で、日本の子どもの貧困や、支援の必要性への社会の理解はとても進み、キッズドアも今では毎年2000人ほどの子どもたちに学習支援や居場所支援を提供しています。小学生や中学生の時にキッズドアの学習会に通っていた子どもたちが、大学進学や就職をして、ボランティアに来てくれるなど、貧困の連鎖を断ち切る嬉しい実例もたくさん出てきています。
しかし一方、10年以上の活動を経ても、日本の子どもたちが成長する社会が良くなったとは言えません。むしろ悪化しています。
増え続ける不登校、外国にルーツを持つ子どもたちは学ぶ機会が奪われたまま放置され、子どもの人権を損なうような校則や時代と逆行して厳しくなる生徒指導に苦しむ子どもたち。
子どもの貧困が少し良くなったとしても、そこにはまだまだ苦しむ子どもたちがたくさんいます。
どんな境遇に生まれても子どもが生き生きと成長できる社会に向けて、キッズドアはこれからも努力を続けてまいります。
ぜひ、子どもたちのために、これからもみなさまのお力添えをいただけますよう何卒よろしくお願いいたします。
すべての子どもが夢や希望を持てる社会へ
[プロフィール]
千葉大学出身。大手百貨店、出版社を経て、フリーランスのマーケティングプランナーとして活躍。
配偶者の転勤に伴い一年間イギリスに移住し、「社会全体で子どもを育てる」ことを体験する。
2007年任意団体キッズドアを立ち上げ、2009年内閣府の認証を受けて特定非営利活動法人キッズドアを設立。
日本の全ての子どもが夢と希望を持てる社会を目指し、活動を広げている。
2016年第4回日経ソーシャルイニシアティブ大賞国内部門ファイナリストに選ばれる。
2018年5月、初めての著書『子どもの貧困〜未来へつなぐためにできること〜』(水曜社)を上梓。
内閣府 子供の貧困対策に関する有識者会議 構成員。
厚生労働省 社会保障審議会・生活困窮者自立支援及び生活保護部会委員。
一般社団法人 全国子どもの貧困・教育支援団体協議会 副代表理事。